まず最初に目を引いたのはタイトルの「かっこいいスキヤキ」の九文字。何だってスキヤキがかっこいいのか。世の女の子達が華やかなケーキを見て「カ~ワ~イ~イ~♪」っていうのと同じくらいヘンテコなタイトルだ。しかも本のジャケットのバックには洋題も書かれていて「GROOVY SUKIYAKI」の文字。これだけで泉昌之という二人組にメロメロになりそうだ。本作品は全18話から成り立っている。その中の「プロレスの鬼」というタイトルだけで6話あるので実際は全23話もある。中でもこのタイトルに使われたであろう「最後の晩餐」では、スキヤキを食べる男のロマンと笑いとを一度に味わうことができる。十人十色というようにスキヤキの食べ方にも個性が出る。もちろん主役は肉だ。分かっていながらも「あくまで肉はスキヤキの一部でしかないんだ。ネギも豆腐もシラタキも平等にスキヤキだ」という主人公のスキヤキ道。男である。そんな事は露知らず肉をがっつく3人に対する主人公の心理描写は、泉昌之ならではの芸当だと思う。すごい繊細な心理なのに妙に説得力があって関心してしまう。しかもその大半が「だれもそんな事悩まねぇっつーの」とツッコミたくなる話題なはずなのに…。
最後に僕は小学生の頃、『小学?年生』という雑誌に掲載されていた「キッチョメン!石神井先生」という作品で泉昌之に出会っている。小学生の頃の記憶なので内容までは覚えていないが、爆笑したのはハッキリ覚えている。小学生仕様に分かりやすく描かれていたのかもしれないが、あれから10年以上経った今でも笑える漫画家というのも凄い。ギャグ漫画だからこそ凄いといえる。子供から大人まで楽しませてくれる『泉昌之漫画』機会があれば是非読んでみてください。