COPYRIGHT 土田世紀 /小学館「編集王」より
あの記事を書いて1週間。いろんなご意見いただきました。はてブビギナーとしては、ブックマークの楽しさをちょっと覚えた1週間でした。
さて。
ネット上で意見をヒアリングさせてもらったのは本当に収穫でした。
自問自答で10年過ごしてきましたが、こんなことならもっと早く聞いとけばよかったと。ま、ブックオフ株取得のニュースもあり、タイムリーなネタだったのでレスしてくださった方が多かったのかも。。感謝です!
さて、さて。
ご意見を聞いているうちに自分の中でも若干、考え方にも変化がでてきました。
非常に参考になったのがこんな意見。
1
mohnoさんの記事。
http://domainfan.com/CS/blogs/mohno/archive/2009/05/20/2207.aspx還元率は販売額の1%程度からスタートと言われているのだから、200万円を還元するためには、その作者だけで2億円の売り上げが想定され るということだ。古い漫画を200円で売ったとして、100万部。世の中には、シリーズで100巻を超えるような漫画もあるから可能性がゼロではないのか もしれないが、ちょっと想像しがたい金額というのが正直なところである。それに、それほど流通しているような漫画なら、もうバリバリ印税生活していて、“ たかが200万”の収入増に魅力を感じたりするだろうか、とも思う。
2
ブックオフが「著作物使用料に類するもの」を支払う意図は?:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmedia オルタナティブ・ブログ
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2008/04/post-712a.html古本の販売については著作権者側には一銭も入りませんので、著作者団体が何らかの形で分け前をよこせと運動するのは一応うなずけます。しかし、それ は法律の改定をするよう働きかけるという形で行うべきです。古本の販売に著作権(譲渡権)が適用されない(ゆえに著作権者側に金が入らない)のは現在の著 作権法で明確に規定されているからです。
著作権法26条の2では、正規の権利者からいったん譲渡された著作物には譲渡権は及ばな いと明確に規定されています(解釈論とか契約でこうなっているという話ではありません)。ちなみに、譲渡とは有償、無償をとわず所有権を移転することで す。このようにいったん正式に譲渡されると譲渡権の効果がなくなることを譲渡権が消尽したと言います。
難しいことを言っているようですがこれは当たり前のことです。譲渡権が消尽しなければ、買った本を人にあげたり、フリマで売ったりするときにも著作権者の許諾が必要ということになってしまい、現実的に妥当ではないからです。
1
mohnoさんの意見は正しいと思います。巨万の富を手に入れた作家さんには、還元するったって本業の稼ぎに比べれば微々たるもの。渡すお金を増やせればいいですが参加していただく書店さんにも儲かってもらいたいので、やっぱり販売額の数パーセントぐらいが妥当なんではないかと思うんです。自分で経営してても、やっぱそれ以上の利益還元はしんどいと思います。
この金額の問題っていうのは、あってしかるべきなんじゃないかなと思います。作家さん達と書店の綱の引っ張り合い。どちらにとっても、メリットがあるような図式でないと、長続きしないはずですので。もしリッチマンな作家さんはその還元利益を放棄していただければ、新人作家育成のために利用させてもらう制度があってもいいんじゃないかとも思いました。
どっちにせよ、お互いの存続を目的に還元額については大いに議論するべきだと思います。
2
還元する名目についてですが、著作権の利益還元としてしまうと、法律の改正まで話が大きくなってしまいます。所有権や、譲渡権などの話が出てきます。もちろんその類になると、本やCDなどコンテンツ商品だけでなく、他の商品まで飛び火して、話がややこしくなりますし、何より法改正の審議に時間を取り、そうこうしている間に、ペーパレスの波と違法コピーの波が押し寄せてきて一気にパラダイムシフトが起こる可能性があると思います。日本版のkindleしかりiPhoneしかり。
ですから、あくまで僕は「作家応援金」として扱えばいいんじゃなかろうかと。万来堂さんが言ってくださってるように。
万来堂日記2nd
http://d.hatena.ne.jp/banraidou/20090519/1242760786一番手っ取り早いのは権利者団体にお金渡しちゃって、あとは分配よろしくってな感じだろうけど、上記のとおり、単品管理の精度という観点から還元の基準を販売ベースではなく買取ベースにしてみたり、作家別の投げ銭システムを考えていたりということであるから、団体に対してではなく、作家個々人それぞれへの支払いを想定しているのだと思う。
でもさ、こういう取り組みこそ、作者に名乗り出て登録してもらった方がいいのではないだろうか。
きっと、作者それぞれにコンタクトを取っていくのだろうなと思うのだけれど、何しろ、本来なら払わなくても全く後ろ暗い所がない、いわば善意の塊みたいなお金だ(まあ、宣伝目的、企業イメージ向上目的がまるっきりないだろうなんてことは言いませんが。営利企業なんだからあってしかるべきだと思うし。)
あくまで自発的に。けど本気で「善意ですか?」と質問されたら、全開で「YES!!」とはいいにくいです。僕たちが古本を販売することを作家さんにも歓迎されたいですし、なんならお店の販促活動にも協力してほしい。。
そう、出来ることなら古本屋でサイン会やってほしいw
万来堂さんには、このようにも言っていただいてます。
なにせあれだ、敵意をもたれながらwin-winの関係を構築しようなんて、考えただけでも悪夢のような話だ。このケースがたとえマーケット全体としては限定的な物であったとしても、双方協力していこうという意識が生まれたとしたら、やがてそこから何か変わっていくかもしれない。
法律改正まで伴うと、それはそれで、迷惑極まりないとお思いの方もでてくるわけですし、、、「出来る範囲」からするという姿勢でまずは挑もうと思います。
ということで自分の意見を「出来る範囲」でまとめると、
誰に?→漫画家さん
どうやって?→連絡をもらう。(漫画家さんの人数なら還元者リストは作れるはず。)
なんの名目で?→「漫画家応援金」
なんの目的で?→マンガ文化の発展と自分たちの商売への貢献
というスタートにしようと思います。
どうでしょう?
PS 本以外も!という話もあるので、本、CD、DVD、ゲームなどの販売、買取履歴ログは残しておきます。まずは漫画からが、やっぱり僕としても一番しっくりと来ます。特に日本の文化としてもマンガは大事だし。
コメント