中古本の利益をアーティスト、著作権者に還元すること。
弊社で販売した中古本の利益の一部を著作者に還元することを約束します。
割合は著作者との協議の末決定しますが、現時点ではアーカム買取査定額の3%(販売額の1%程度)もしくは古本屋大賞準備金(2~4000円程度 09・7・29追加)の作家応援金からスタートします。なぜ還元するのか?
98年に僕はインターネットに出会いました。
当時、どこかのニュースサイトで見かけたe-inkという会社の記事。近い将来、本もデジタル化し、電子書籍なるものが大普及するといった内容のものでした。その記事でみた電子ペーパーは薄さも紙と変わらず、折り曲げることができたり、電源も気にしなくていい工夫が施されるという予測でした。折りしも僕が家業の書店をつごうと決意した年でした。
いつ到来するのか予測がつかないけれど、かならず未来はこうなるはずです。
傾きゆく産業に自ら飛び込む不安とそして、もしかすると大きな変革に立ち会うことができるかもしれないという期待でスタートアップしたことを今でも鮮明に覚えています。そして新刊も古本も取り扱うという、特異な書店を経営して10年。相変わらず、電子ペーパーは普及にいたらずですが、その足音は少しづつ大きくなってきているのを感じます。
また、そういったデジタル化のうねりを期待しつつも、紙の媒体のよさを守る使命感が生まれたのも事実です。
そしてたどり着いた考えが、古本という2次産業から1次産業である新刊業界に利益を還元し、いがみ合っていた両者が協力しお互いのリソースを利用しあい共存していくすべを思いつきました。
新刊あっての古本です。
その事は両方の商品を扱ったことで、素直に感じた思いです。
昔なら古本屋を2軒、3軒回ってなければあきらめて、新刊を買ったはずです。
しかし、インターネットが普及する現在は検索ひとつで人気商品でもすぐ見つかる世の中になってしまいました。これでは、いくら作品がヒットしても、中古が売れ続け、創作者に利益が入ってこない矛盾を呼び起こしました。
新刊業界が縮小すると、当然2次産業である古本業界もダメージをこうむるわけです。
だから僕は流通網やマーケットデータ、商品データを共有しあい、いづれはダウンロードに脅かされるパッケージコンテンツの領域、つまり紙の本のすばらしさを守りたいと思うようになりこの仕組みを考えました。
利益の還元方法。
28号からの還元(書店からの還元方法)
WEBサービスである、買取査定システム「買取28号」上での買い取り履歴からどの著作者のどの商品が買取されたのかをロギング(記録)します。そのデータから個別に還元金の振込みデータを作成していきます。
販売額でなく買取額を基準値にしているのは、販売データの取得が店舗では現在、いい方法が思いつかないためです。
パトロンシステム(ユーザからの還元方法。)
通販サイトアーカムブックス(http://www.arcam-b.com/)で購入されたお客様にお付けするポイントを投げ銭方式でユーザは作家さんにポイントをあげることができます。
(ニコ動の「提供」みたいな仕組みです。(ポイントを現金化するかは要検討です。)要はお気に入りの作家さんの活動を応援するパトロンになるということです。パトロン参加リストなどを表示可能にし、作家さんとのつながりを感じる事ができます。
28号とは。
アーカムの査定システムをWEB版にローカライズ(置き換え)したシステムです。個人、法人を問わず古物商免許さえ取得すれば利用できます。過去の査定結果や、WEB上の中古本の実勢価格を取得し、自動的に利用者の設定する利益率にあわせた買取が可能になります。
この仕組みの利用者は冒頭で述べたように、作家に利益を還元することに同意していただける方のみ利用可能です。
(2009年8月正式リリース)
28号の機能。
買取価格比較サイト
どの書店が一番便利で安心で高く買い取りしてくれるかをランキングしてくれる機能です。商品買取を増やすためにアピールするための機能です。
買取査定
メイン機能、買取査定相場を自動的に計算し、お客様に通知する機能。
出品機能
買取した商品をそのままamazon.co.jpへ出品します。
受注処理機能
販売した商品の伝票印字、納品書作成、メール送付機能。
28号の収益について。
運営費、開発費などサービスを発展させ、さらに活力ある組織として維持していくにはお金が必要です。ただし過剰に利益を追求することはアーカムの考え方ではありません。
できるだけ透明性の高い組織をつくり、公開していきたいと思います。NPO法人など、収益の処分を再投資に回すといった公平性の高い仕組みでないとうまく立ちゆかない気もします。
出版社、作家、取次ぎ各社に期待すること。
・フェアユースの導入の際にはユーザのMADを含む2次創作などを許容してほしいです。
・取次ぎ様の流通網を使わせていただき、中古本ネットワークを形成してほしいです。
・古本からの還元から発生した利益でよりよい作品を創造してほしいです。
・ユーザとのつながりを大切にしてほしいです。
2009年5月4日草案
2009年5月8日1部修正
2009年5月11日 「収益について」追記。「パトロンシステムについて」を追加
2009年5月15日引用バナー追加
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5月30日追記。
ブロガーさんとの意見交換などを経ていろいろアドバイスを取り入れて、取り組み方も変わってきていますので詳しくはこのエントリ以降の記事もぜひご覧ください。
このエントリ以降、さまざまな意見を取り入れて、修正など加えていっております。
続きはこちらのエントリなどどうぞ。
今日までのまとめ2。「紙の本は5年以内に劇的な減少を見せる」>本屋編
http://arcam.typepad.jp/arcamstaff/2009/06/5-7ebc.html
まとめ3 デジタル化は違法コピーとの戦いのはじまり。でもそれを認めた上でどうする?>作家編
http://arcam.typepad.jp/arcamstaff/2009/06/post-8b38.html
古書販売で著者になんらかの経済的利得を配分することに絶対反対です。
著者は新刊出版の際に利益配分を受ける契約をした上で出版しています。著者の取り分が少ないとすれいばそれはその契約の問題です。
古書店は新刊本が出なければ成り立たないと仰いますがそんな脳の無い経営者が日本をカラッポにしました。
人類の文化を担う古書店の経営者はもっと賢くなってください。
古書なんてこれまで出版された本が幾らでもあります。
今、古書店が古本を受け付けない為にそれらの多くがゴミとして消滅しています。
古書店の使命は昔から不変でしょう。新刊本を新刊本書店よりも安くうることで客を集めることをメインにしたときに古本屋は終ったのです。
そこそこの規模の書店さんで、社長さんにバイタリティもあるようです。是非、オンデマンド出版に乗り出してください。
難しいことではありません。エプソンなかの顔料インクのカラープリンタ買えば済むことです。
インクジェットプリンタは使いつづけないと綺麗な印刷は出来ません。小規模な同人なんかはスグに固定客になってくれるでしょう。
あとはネット上のブログ等を編集して、発注者に印刷してメール便で送ればビジネスにはなるでしょう。
製本作業に人手が必要ですが、学生バイト等で対処出来る筈です。
需要はあるのに、普通の人では対応できず、対応する能力を持った人はそのことに気が付いていない典型例だと思います。
技術書なんかは片っ端から絶版です。若い世代が技術屋になるチャンスはほぼ壊滅状態。
20年後、日本国内のあらゆるシステムは中国製で中国人がサポートしてボッタくっていることでしょう。
有志のWEBなんかも当人が死んだら追っ付消えます。
年間100部くらいしか売れない本でもオンデマンド出版なら対応できます。
一部200円位の実入りでも著者はタイトルを増やすことで老年期には
ソコソコの収入となり得るのです。
文学、漫画、写真、譜面 需要は相当あります。
このコメントを真に受けてビジネスを始められても、「幾らか寄越せ」とか言いませんからご安心を。
投稿情報: 山崎渉 | 2009年6 月 2日 (火) 14:27